「両親がそろっている」ことの安心感を考える|マリッシュ再開準備室

「両親がそろっている」ことの安心感を考える|マリッシュ再開準備室






離婚を考えるとき、ふと立ち止まって考えてみたいことのひとつ。それが、「両親がそろっている」ことの意味です。

この記事では、シングルの家庭で育った筆者自身の体験を交えながら、それが子どもにとってどんな安心感につながるのかを、正直にお話しします。

家族のイメージ
※画像はイメージです

両親がそろっていることは、静かな安心感

子どもにとって、両親がそろっているということは、それだけでひとつの安心感につながります。普段は意識すらしないけれど、土台のようにそこにある——そんな種類の安心です。

もちろん、シングルの家庭で育つことが「不幸」だと言いたいわけではありません。立派に育つ子はたくさんいますし、ひとり親家庭ならではの絆の深さもあります。同じ境遇の人と出会えば、それは強い共感材料にもなります。

ただ、正直に言えば——不安材料になる場面が、現実にはそこかしこにある。それもまた、事実なのです。

筆者の体験 ―「お父さんの名前を言ってみましょう」

ここで、筆者自身の話を少しさせてください。

(今はきっと配慮されていると思いますが)私が小さい頃、幼稚園にこんな遊びがありました。先生が「〇〇さん?」と呼びかけて、みんなで「お父さんの名前を言ってみましょう!」という、ちょっとしたゲーム。

私は物心ついたときから父がいませんでした。だから、どうすればいいのか分からず、先生に聞いたんです。「私は、どうすればいいの?」と。先生は優しく、こう言ってくれました。「お母さんの名前でいいよ!」

私の場合は、生まれたときから父がいなかったので、そのこと自体で深く傷ついたり、気にしたりすることはありませんでした。それが「普通」だったからです。——でも、こういう場面は、形を変えながら、現代でもそこかしこに存在しているのだと思います。

大人になっても、ふと訪れる「あれ?」の瞬間

こうした場面は、子ども時代だけのものではありません。大人になってからも、ふとした瞬間に顔を出します。

  • 就職活動のとき ――「ご両親の了承は得られていますか?」と聞かれて、「両親……? 片親なんだけどな」と、心の中でつぶやく。
  • 交際相手に親を紹介するとき ――「あれ? お母さんは?(お父さんは?)」と、相手がふと戸惑う。
  • 結婚が決まったとき ―― 顔合わせや結婚式で「あれ?」と思われないように、事前に伝えておく必要がある。

とくに結婚にまつわる場面は、デリケートです。事前に伝えておかないと、相手のご家族を戸惑わせてしまうかもしれない。でも、伝えれば伝えたで、「あぁ、そういう家庭なんだ」と受け取られたり、ときには「血筋的に、この子も離婚するんじゃないか」と勘ぐられたり——そんな不安が、心のどこかにずっとついて回ります。

本人には何の責任もないことなのに。それでも、こうした小さな引っかかりが、人生の節目節目で、静かに積み重なっていくのです。

同性の親を知らずに育つ、ということ

そして、もうひとつ。これは、もっと深いところに関わる話です。

たとえば男の子が、父親を知らずに育つ。すると、いざ自分が父親になったとき、「父親とは、どう振る舞うものなのか」の手本が、自分の中にありません。

たとえば女の子が、母親を知らずに育つ。すると、自分が母になったとき、「母として、どうすればいいのか」が分からず、戸惑うことがあります。

身近に「お手本」がいるかどうかは、思っている以上に大きいもの。親の背中を見て、子どもは無意識のうちに、たくさんのことを学んで育ちます。その背中が片方だけだと、知らず知らずのうちに、抱えるものが生まれることもあるのです。

どんな形であれ、揃っていることは安心材料

だからこそ——どんな形であれ、両親がそろっているということは、子どもにとって、実は大きな安心材料なんです。毎日ベタベタ仲良くしている必要はありません。ただ「両方そろっている」という、その事実そのものが、子どもの土台を静かに支えてくれます。

もちろん、これは「だから何があっても離婚してはいけない」という話ではありません。別の記事でもお伝えしたように、心や体の安全が脅かされているなら、逃げることが正しい選択です。そして、離婚という形を取らずとも、別居や実家暮らしで距離を取りながら「両親がいる状態」を保つ、という道もあります。

大切なのは、「両親がそろっていることには、子どもにとって確かな価値がある」——その事実を、選択肢を考えるときの一枚のカードとして、持っておくこと。そして、

どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。

次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。

子どもの“土台”を、一緒に考える

どんな選択にも、守れるものと、向き合うものがあります。
あなたとお子さんにとっての答えを、焦らず探していきましょう。

※本記事には筆者個人の体験・見解が含まれます。家庭の形に優劣はなく、ひとり親家庭で健やかに育つ子どもも数多くいます。本記事は、選択肢を考えるうえでの一つの視点をご紹介するものです。