「卒婚」という新しい夫婦のかたち|マリッシュ再出発準備室

「卒婚」という新しい夫婦のかたち|マリッシュ再出発準備室

子どもが巣立ち、仕事もひと段落。
気づけば、久しぶりに夫婦二人の時間が増えていた――。

これまでは家族の予定を優先してきたけれど、これからは自分の時間も大切にしたい。そんな気持ちが芽生える方もいるのではないでしょうか。

そこで近年、夫婦のあり方のひとつとして知られるようになったのが「卒婚」です。

離婚して別々の人生を歩むのではなく、夫婦という関係はそのまま。ただし、何でも一緒にする生活からは少し卒業して、それぞれのペースで暮らしていく。

この記事では、「うちも少し分かるかも」と感じる夫婦あるあるから、卒婚の魅力や始める前に決めておきたいことまで紹介します。

① そもそも「卒婚」って?

卒婚という言葉は、フリーライターの杉山由美子さんが2004年に出版した『卒婚のススメ』をきっかけに広まったとされています。

名前に「卒」とついていますが、結婚生活そのものを終わらせるという意味ではありません。婚姻関係は続けたまま、夫婦が必要以上に生活を合わせるのをやめ、もっと自由な距離感で付き合っていく。

いわば、「夫婦だからいつも一緒」を卒業するスタイルです。

決まった形がないのも卒婚の特徴。暮らし方は夫婦によって大きく変わります。

家庭内卒婚

同じ家に住みながら、それぞれの時間や空間を持つスタイル。夫は趣味に出かけ、妻は友人とランチへ。休日だからといって毎回二人で出かける必要はなく、「今日は別行動ね」が自然に言える関係です。

別居卒婚

住む場所そのものを分け、それぞれの生活を楽しむスタイル。仕事や親の介護、趣味などをきっかけに住まいを分け、会いたい日に食事をしたり、一緒に旅行へ行ったり。毎日顔を合わせないからこそ、会う時間をゆっくり楽しむという考え方です。

週末卒婚

平日はそれぞれの生活、週末は夫婦で過ごすスタイル。ずっと一緒にいるよりも、「今週末は何しよう?」と予定を立てるほうが性に合う夫婦もいるでしょう。夫婦でいる時間と、一人で過ごす時間。その両方を持てる暮らし方です。

② こんな時に考える?夫婦あるある

卒婚を意識するタイミングとして分かりやすいのが、子どもの独立や定年など、生活が大きく変わる時期です。

  • 子どもが独立して、夫婦二人の時間が増えた
  • 昔好きだった趣味をもう一度始めたい
  • 友人との旅行や外出をもっと楽しみたい
  • 旅行や習い事など、新しいことを始めてみたい

長いあいだ「親」として動いてきた夫婦ほど、子どもが家を出た瞬間、生活の中心がぽっかり空くことがあります。

たとえば、子どもが独立した50代の夫婦を想像してみましょう。夫は定年後も自宅で過ごすつもりですが、妻は友人との旅行や習い事を楽しみたいと考えています。そこで二人は、無理に予定を合わせるのをやめることにしました。

夫は釣りへ。妻は友人との外出や習い事へ。

以前なら、夫が釣りに出かけるたびに妻が不満を感じたり、妻が出かけるたびに夫が寂しがったりするかもしれません。でも、それぞれの予定を尊重できれば、相手の行動も少しずつ気にならなくなるでしょう。

別々に過ごしたからこそ、帰宅してからその日にあった出来事を話す時間が増えることもあります。

これからも夫婦でいるために、あえて少し離れてみる。卒婚には、そんな考え方もあります。

③ 卒婚で感じられる3つの変化

では、卒婚を取り入れると暮らしにはどんな変化が生まれるのでしょうか。ここでは、期待できる前向きな変化を3つ紹介します。

1.「自分の時間」が戻ってくる

大きいのは、好きなことに使える時間が増えること。昔好きだった趣味を再開したり、友人と出かけたり。「今さら趣味なんて」と思っていたことも、始めてみたら毎週の楽しみになるかもしれません。ずっとやってみたかった習い事に挑戦するのもいいでしょう。

2.夫婦の会話が新鮮になる

ずっと一緒にいると、会話が「今日の夕飯どうする?」「病院は何時?」など生活の連絡事項中心になりがちです。

別々の時間を持つようになると、「今日はこんなことがあったよ」とお互いに持ち帰る話が増えてきます。一緒にいる時間が減ったのに、話したいことは増える。そんな変化が起きることもあります。

3.「違って当たり前」と思えるようになる

夫は旅行が好き、妻は家でゆっくり過ごすのが好き。夫は友人と出かけたいけれど、妻は趣味の教室に通いたい。

そんな違いがあっても、無理に合わせる必要がなくなれば、それぞれの楽しみを応援しやすくなります。お互いの好きなことを尊重できるようになると、夫婦関係にもほどよい余裕が生まれます。

④ 始める前に話しておきたい3つのこと

自由度の高い卒婚ですが、「今日から好きに暮らそう!」だけではうまくいきません。むしろ自由にする部分が増えるからこそ、最初に決めておきたいことがあります。

1.お金のこと

まず避けて通れないのが生活費です。生活費をどうするのか、住居費や食費をどう分担するのかを決めておきましょう。

特に別居する場合は、家賃や光熱費など新たに発生する費用もあります。「そのうち何とかなる」ではなく、具体的な金額まで確認しておくと安心です。

2.家事のこと

同じ家に住み続けるなら、家事のルールも見直しどころです。これまで妻が担当していた家事を、生活スタイルが変わったあとも同じように続ける必要があるのか。

  • 「自分の食事は自分で用意する」
  • 「洗濯は各自で」
  • 「掃除だけは曜日で分担する」

そんなふうに、一度ゼロから決め直してみるとよいでしょう。卒婚したのに、家事だけは今まで通り――では、どちらかに不満が残ってしまいます。

3.病気や介護など、もしものこと

普段は自由に暮らしていても、病気やケガなど、急に助けが必要になる日はあります。別居している場合は、特に事前の確認が大切です。

  • 緊急時は誰に連絡する?
  • 入院したらどうする?
  • 親の介護が必要になったら?
  • 自分たちの介護が必要になったら?

話しにくいテーマではありますが、先に話しておけば、いざという時にも動きやすくなります。

自由に暮らすことと、困ったときに支え合うこと。その線引きを二人で共有しておけば、卒婚生活も始めやすくなります。

⑤ 夫婦の関係を見直すきっかけに

長い結婚生活の中では、夫婦の役割も暮らし方も少しずつ変わっていきます。

子育て中は、家族の予定が最優先。仕事が忙しい時期は、毎日を回すだけで精いっぱい。卒婚は、これまで家族のために頑張ってきた時間を振り返りながら「これからは自分の人生も楽しみたい」と考えるきっかけのひとつです。

別々の道を歩むのか。これからも一緒にいるために、少しだけ距離を置くのか。夫婦の関係にひとつの正解はありません。

さいごに

どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。

次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。

 

自分たちに合う距離を、二人で。

これから先をどう過ごしたいのか二人で話しながら、自分たちに合う距離を見つけていく。それが、これからの夫婦関係を見つめ直す第一歩になるのではないでしょうか。